実証参加企業の担当分野
実証参加企業の担当分野
(出所:経済産業省)
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 経済産業省は9月4日、太陽光発電出力の予測技術を開発する実証事業について、事後評価検討会を開催した。参加企業が公表した成果によると、日射量の当日予測の年間誤差は8~15%、広域の発電出力推定は年間誤差で5%以下の精度を達成した。

 この実証事業は、太陽光発電を大量導入した際に必須となる出力予測の技術を開発するのが目的。2011年度から3年間の日程で、東京大学、伊藤忠テクノソリューションズ、ソーラーフロンティア、日本気象協会、日立製作所、三菱電機、電力中央研究所、電力10社が参加した。

 実証事業では、3社が天気予報の技術を応用して日射量を把握・推定し、得られた日射量などから5社が太陽光の出力を予測した。5社は、日射量の予測情報に加え、地域ごとの設置状況の違いを加味して補正したり、過去の実測データを統計的に活用したりするなど、独自の予測手法を開発し、10km(富山)、20km(京浜)、30km四方(名古屋)の3エリアで、30分ごとの平均値として予測した。

 報告によると、3社による日射量の年間予測誤差は、翌日予測で10~16%、当日予測で8~15%となった。5社による発電量予測では、年間の推定誤差は5%以下の精度を達成した。ただ、富山エリアに関しては、2社の予測誤差は5%を超えた。富山市付近は、積雪の影響を受けるため、日射があっても発電しないことがあり、誤差が増加した。

 今回の実証事業の成果は、現在、多くの企業が取り組んでいる太陽光の出力予測に関し、その精度を判断する際のベンチマークの1つになりそうだ。