米google社がセキュリティ面での課題などを理由に、メガネ型端末「Google glass」の一般販売を中止するなど、民生用のメガネ型端末は普及が鈍化している状況だ。その一方で、国内メーカーは業務用のものに活路を見出し、相次いで商品を発売している。2015年9月7日~8日に開催された「Wearable TECH EXPO in Tokyo 2015」でそうした様子が垣間見えた。

 現在、国内メーカーでは東芝や富士通、ブラザー工業が業務用のメガネ型端末を発表している。まず、業務用のメガネ型端末の商品分類について、エプソン販売 販売推進本部 VP MD部 部長の蟹澤啓明氏が、同イベントの講演の中で明らかにした。

 大きく分けて、単眼タイプと両眼タイプのものに分類される。現在、軽量化路線が進んでいることもあり、単眼かつ液晶パネルの画素数が多い商品が最も多い。両眼の場合は、単眼に比べて視認性が高く、堅牢性や装着安定性を高めた商品として、セイコーエプソンが商品を展開している。

業務用のメガネ型端末の分類
業務用のメガネ型端末の分類
単眼かつ液晶パネルの画素数が多い商品が最も多い
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業務用に活路を見出すエプソン

 メガネ型端末の活用を、業務用途の中に見出したメーカーの1つがセイコーエプソンだ。同社は、2011年にメガネ型端末の「BT-100」、2014年に「BT-200」といった商品をコンシューマー向けに売り出してきた。その中で、業務で使いたいといった声が多く、業務用モデルのヘッドマウントディスプレイ(HMD)である「MOVERIO Pro『BT-2000』」(関連記事)を2015年6月に発表。9月に販売を開始する。オープン価格は35万円としている。長時間の装着を想定し、メガネ型ではなく頭に装着する仕様となっている。

 業務用の利用シーンとしては、3つが想定される。作業マニュアルを表示した「作業ガイド」、熟練者からの遠隔指示を伝える「遠隔指示」、物流倉庫などで仕分け先の場所を的確に指示する「ナビゲーション」といったものだ。

セイコーエプソンが今月発売する、業務用HMD「MOVERIO Pro『BT-2000』」
セイコーエプソンが今月発売する、業務用HMD「MOVERIO Pro『BT-2000』」
両眼シースルータイプとなっている。
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