宮崎 義弘氏 日経エレクトロニクスが撮影。
宮崎 義弘氏 日経エレクトロニクスが撮影。
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 仮想ECU(ECUのモデル)を使った、車載ソフトウエアの回帰テスト(レグレッションテスト)や、故障注入テスト(failure mode and effects analysis:FMEA)に関して、日立オートモティブシステムズの宮崎 義弘氏(技術開発本部 主管技師長 電子プラットフォーム技術統括)が講演した(写真)。実ECUから仮想ECUに替えたことで、工数が約1/28に減った回帰テストの例など、同社における複数の適用事例を紹介した。

図1●実ECUを使うHILSと、仮想ECUを使うvHILSを比較 日立オートモティブのスライド。
図1●実ECUを使うHILSと、仮想ECUを使うvHILSを比較 日立オートモティブのスライド。
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 この講演は、シノプシス ユーザーズ・ミーティング 2015(2015年9月4日に東京で開催)で行われた。宮崎氏によれば、実ECUを使ったHILS(hardware in the loop simulation)に比べて、仮想ECUを使ったvHILS(virtual HILS)には複数のメリットがあるという(図1)。まず、実機がないのでクラウド上で実行可能であり、利用場所を選ばない。また、再現性や観測性が高い。

 ただし、HILSを完全に置き換えるわけではない。同氏によれば、仮想ECUを使った回帰テストやFMEAは、自動車の機能安全規格「ISO26262」でも推奨されているという。ISO26262の準拠は、今や、自動車開発で必須の項目であり、仮想ECUを上手く利用することで、例えば開発の効率化を狙える。