ドイツContinental社の日本法人であるコンチネンタル・ジャパンは2015年9月3日、報道陣向けに技術試乗会を開催し、その中で新しい電動油圧ブレーキ「MK C1」を搭載した試乗車を披露した(図1、2)。ブレーキペダルの踏み込み量に応じて制動のフィーリングをソフトウエアで変えられるようにした試作車だ。

新しい電動油圧ブレーキを搭載した試作車
図1 新しい電動油圧ブレーキを搭載した試作車
ブレーキペダルの踏み込み量とブレーキの利き具合をソフトで変えられるのが特徴。
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新しい電動油圧ブレーキ「MK C1」
図2 新しい電動油圧ブレーキ「MK C1」(左)
小型・軽量な上、単品では高いが開発費、部品の輸送費、組み立てコストなど含めたシステムのトータルコストは安い。
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 同試作車では、ペダルの踏み込み量が少ないうちから制動をしっかりと利かせるようにした「スポーツ」モードと、ペダルをある程度踏み込むまでは制動をじわっと利かせるようにした「コンフォート」モードの2種類を用意、スイッチ一つでそれらのモードを切り替えられるようにした。米Ford Mortor社の「C-MAX Hybrid」をベースに試作した。同社は、このMK C1を2016年第2四半期に実用化する計画。イタリアAlfa Romeo社の「Giulia」に搭載される見込みだ。日本の自動車メーカーにも先行開発を共同で進めているところもあるという。

 MK C1は、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)/横滑り防止装置(ESC)ユニットと電動ブースター、およびマスターシリンダーを一体化し、さらにブレーキ・バイ・ワイヤーの機能を盛り込んだ同社の新しい電動油圧ブレーキである。電動ブースターは、真空ブースターに代わるもので、ブレーキペダルを介して伝える制動力をエンジンの吸気マニホールドの負圧を使って増幅する真空ブースターと違い、モーターでピストンを駆動することによって昇圧し制動力を増幅する。マスターシリンダーは、ピストンとシリンダーによって力を油圧に変換する装置である。