デジタル超音波診断装置「HI VISION Ascendus」
デジタル超音波診断装置「HI VISION Ascendus」
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 日立アロカメディカルは、肝臓疾患診断向けに開発した新機能「Shear Wave Measurement(以下、SWM)」をデジタル超音波画像診断装置「HI VISION Ascendus」に搭載し、2015年9月から発売する。

 SWMは、組織の硬さの違いをひずみ分布として画像化する技術であるElastographyの新機能。組織の硬さ情報であるせん断弾性波の伝搬速度(Vs)を1回のボタン操作で自動的に複数回計測できる。その上で、せん断弾性波の伝搬速度を正しく検出できたかどうかを判定し、その割合を信頼性指標(VsN)として定量的に数値で表示可能だ。従来は計測結果のバラツキを軽減するために複数回計測の平均値などで評価しており、SWMによって計測回数の減少や計測結果の精度向上を見込めるという。

 Elastographyは、Real-time Tissue Elastography(以下、RTE)として2003年に日立グループが業界に先駆けて製品化した技術。主に乳がんの検査時に組織の硬さを表示することで、医師の診断に役立ててきた。RTEでは、超音波プローブを軽く振動させることで発生する組織の変位を、超音波で検出して画像化する。肝臓領域では、心拍動による組織のひずみを利用して画像化し、肝炎などに伴う線維化の進行度を推定するLF Index(Liver Fibrosis Index)が得られる。

 HI VISION Ascendusは、Elastographyのプローブを持ちかえることなくRTE(LF Index)とSWMを計測できる点が特徴だ。せん断弾性波の伝搬速度は肝臓の炎症やうっ血、黄疸の影響を受け、LF Indexは影響を受けないことが知られている。そのため、この2つを計測することで炎症やうっ血、黄疸のある急性期の診断にも役立つという。