私たちは、日々さまざまな人たちと会話をしています。一日、一言も会話がなかった、という日はそう多くはないと思います。会話でなくとも、テレビやラジオの音声を耳にしていることは多いと思います。
音や言葉を耳から受け取る表記方法としては、「聞く」と「聴く」、という二つの漢字があります。漢和辞典を調べてみると「聞」は「音が外から聞こえている状態」とあります。門は音が聞こえてくる入口を指しています。先日小学6年生に授業をした際、「家の中にいると外から何か音が聞こえてくる場面を想像してごらん」と説明しました。
一方、「聴」という字の耳偏の右側は「正しい心」を表しています。「聴く」とは「正しい心を持って聞く」という意味です。「徳」の右側も同じです。小学6年生には「十四の心をこめて聞くこと」と説明しています。この二つの説明で、小学生たちは「聞く」ことと「聴く」ことに大きな差があることを理解してくれます(図1)。前者は漫然と聞く、後者は集中して聴く、ということになります。英語で言えば、hearとlistenの違いです。