自動車のセキュリティー対策が必須の時代に突入した。自動車メーカーが責任を問われる事例が出てきたからだ。「技術者塾」で「コネクテッドカーに必須のセキュリティ技術」〔2017年1月20日(金)〕の講座を持つ、ヴィッツ 組込セキュリティPF 開発部 組込セキュリティPF 開発室 室長の杉山歩氏に、自動車のセキュリティー分野で何が起きているのかを聞いた。

――自動車のセキュリティー対策の重要性が世界で叫ばれています。日本企業の技術者の認識は今、どうなっているのでしょうか。

杉山氏:高い認識を持っている人と、そうではない人とで差が大きいというのが正直な感想です。現在は、認識の高い日本企業のセキュリティー担当部署が懸命になってセキュリティー対策をどうすべきか検討しているところです。具体的には、自動車メーカーと1次部品メーカーの一部です。2次以降の部品メーカーになると検討している企業の方が珍しいと思います。

 ところが、検討している企業であってもセキュリティー担当部署以外の認識はそれほど高くありません。そのため、開発部門に話を持って行っても、「なぜ、そんなことが必要なのか?」「そんなことを言われても、実際にどう進めたらよいのか分からない」といった言葉が返ってくることが多い。実は、自動車のセキュリティー対策を必要と思っている技術者は今なお多くはありません。

 つまり、検討は進んでいるものの、導入はあまり進んでいない。これが、多くの日本企業における自動車のセキュリティー対策の実態なのです。