寺倉 修 氏
寺倉 修 氏
ワールドテック 代表取締役

「日本メーカーの設計力は落ちつつある」と警鐘を鳴らすのが、「車載システムで品質トラブルをなくす、設計力向上の勘所」〔2015年9月28日(月)〕と「車載システムで品質トラブルをなくす、設計力を支えるDRの勘所」〔同年同月29日(火)〕の2つの講座を持つワールドテック代表取締役の寺倉修氏だ。同氏に「真の設計力」とは何かについて聞いた。

──寺倉先生が講師を務める設計力向上に関する講座が人気です。その理由なのですが、実は今、設計力の低下を認識している日本メーカーが多いからではありませんか。

寺倉氏:データから判断すると、日本メーカーの設計力は落ちつつあると言わざるを得ません。データとは、国土交通省が発表しているクルマのリコール情報のことです。ここ7~8年の間ずっとリコール件数は約200件/年もあり、減っていません。さらに注目すべきは、リコールの原因です。設計に起因するものが、製造に起因するものに比べて2倍ほど多くなっており、これも毎年変わっていないのです。

 受講者の認識の変化からも、設計力に何らかの変調を来していることがうかがえます。講師の仕事をするようになって以来、私は「製品の品質不具合の原因が設計と製造のどちらにあると思うか」と受講者に聞いてきました。当初は「製造」という意見が多かったのですが、4~5年ほど前から「設計」という声が大きくなりました。こうした現象から、リコールを含めた品質不具合は設計に大きな問題があるという認識が、現在の日本メーカーに広まっているのではないかと思います。