トヨタグループにおいて製品開発の際に必要不可欠なツールの1つに「品質機能展開(QFD)」がある。「技術者塾」では「開発目標値の決定に不可欠な『品質機能展開』入門」(2016年7月20日)を開催する。同社グループは品質機能展開をいかに使いこなすのか。講師であり、デンソーの開発設計者出身で「品質リーダー」も経験した皆川一二氏に聞いた。

──品質機能展開(QFD)について聞き慣れない人もいると思います。品質機能展開とは何ですか。

皆川氏:お客様の視点に立ってください。お客様は何を買うのでしょうか。お客様は物を買いません。「機能」を買うのです。この機能を間違えると、いくら一生懸命に造っても製品は売れません。

 品質機能展開は、製品開発の際に、どのような機能が必要で、その機能を発揮するためにどのような特性が必要かについて決めるためのツールです。機能(要求品質展開表)を横(行)に、特性(品質特性展開表)を縦(列)に配置したマトリックス(品質表)を作成し、どこを重点的に開発すべきかを決定するために使います。

 もっとシンプルに言えばこうです。開発設計者が次の製品を開発する際に、頭の中で考えている「次の製品はこんな感じがいいなあ」というイメージを、具体的にどのような機能にし、そしてその機能を満足する特性をどのようにするかを「見える化」する。そのために使うのが品質機能展開です。

──機能や特性を具体的に見える化するツールということは、開発設計者にとっては必須の手法ですね。十分普及しているのでは。

皆川氏:何となく使っている企業が3割程度で、きちんとできていると言える企業は1割程度、といったところではないでしょうか。