ユーザーニーズに合わせた個別製品を、大量生産と同等のコストで提供するマス・カスタマイゼーション。これを実現する製造装置として注目を集める3Dプリンターだが、課題の1つが生産性だと指摘されている。
これを解決できる新しい造形方法が日本から生まれた。ソニーが開発した「1次元規制液面法」と呼ばれる造形方法である。この造形方法を採用した3Dプリンターが市販されているわけではないが、同社は社内で使う製造装置としての準備を進めており、これで量産した民生品を2016年6月から出荷する予定だ1)。
同方式の3Dプリンティングの研究を進めているのが東京大学大学院理学系研究科付属フォトサイエンス研究機構だ。同研究機構は3Dプリンター「RECILS」および、RECILSで造形した立体モデルのサンプルを「3D Printing 2016」(2016年1月27~29日、東京)に参考出展した(図1)。1次元規制液面法による3Dプリンターの仕組みと、その実力を見てみよう。