米国ミネソタ州ミネアポリス郊外にあるDunwoody College of Technology(ダンウッディー工科大学)のRobotics & Manufacturing学部では、約1100人の学生がロボット技術やものづくりを学ぶ。同学科が3Dプリンターの活用を開始したのは20年以上前だ。現在では、製造装置の1つとして当たり前のように3Dプリンターを活用しており、従来工法の中に自然に溶け込んでいる。今回は、その活用状況を紹介する。

今では製造装置として活用

 現在、同学科では3台の樹脂熱溶解積層法(FDM方式)の3Dプリンターを使っている(図1)。イスラエルと米国に本社を置くStratasys社の「FORTUS 400mc」1台と、「同250mc」2台だ。同社製3Dプリンターの中では「プロダクションシステム」に位置付けられる装置である。

図1 活用中の3Dプリンター
図1 活用中の3Dプリンター
(a)米国ミネソタ州ミネアポリス郊外にあるDunwoody College of Technology(ダンウッディー工科大学)のRobotics & Manufacturing学部では現在、FDM方式の3Dプリンターを3台活用している。(b)多くの学生で共有するため、装置にどの材料が装填されているのかを示すタグも3Dプリンターで造形。装置の見えやすいところにホルダーを取り付け、差し替えられるようにした。
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 同学部では早くから3D-CADを使ったソリッドモデリングをカリキュラムに取り入れており、その題材としては「実際に使える製品を設計すること」(同氏)を中心に据えている。3D-CADを使ってデザインするだけでなく、実際に製造して動作させ、その機能や使い心地までを評価するのだ。

 約20年前に3Dプリンターを導入した当初は、「造形エリアも小さく、使える材料も1種類に限られていた」(同学部のE.J.Daigle氏)。そのため、3Dプリンターの活用は主に、形状の見た目や持ちやすさなどを確認するための試作だった。つまり、「実際に使える製品」を造る方法とは別の、試作品を作る方法として3Dプリンターを活用していたことになる。

 その後、3Dプリンターの買い替えを進めるうちに装置の性能が向上。造形エリアの拡大や精度の向上に加えて、使用できる材料も増えてきた。その結果、徐々に試作装置ではなく製造装置として3Dプリンターを活用するようになってきたという。