これまでイノベーションを創出させるマネジメントを詳しく紹介してきたが、今回はマネジメントの範囲を超える領域、つまりマネジメントが届かない部分について説明したい。これは、かなり個人的な内容になる。

 良い仕事をするにはプライベートも充実していることが望ましい。それが間違いないことには、皆さんも同意していただけると思う。家族や恋人、友人、恩師などの支えは、仕事のやる気を高め、困難に打ち勝つ強さを与えてくれる。

 このように、仕事の上下関係と離れて自分の味方になり、精神的にも支えてくれる人をメンターという。多くの企業では新入社員などに対し、仕事やプライベートの悩みの相談に乗ってくれる先輩を配するメンター制度を導入している。その場合のメンターは狭い意味のメンターで、本来のメンターは職場の人とは限らないもっと広い概念だ。

 ただし、広い意味でメンターに恵まれるために、マネジメントができることはさほど多くはない。結局は本人の生き方と、人との出会いに負う部分が大きいからだ。今回は、こうした広い意味でのメンターをテーマにしたい。