米Apple社が2017年11月3日に発売した「iPhone X」。iPhoneシリーズで初採用となる有機ELディスプレーや、顔認証機能「Face ID」など、約1カ月前に発売したばかりのiPhone 8と比較しても多くの新機能が追加され、iPhoneの新たなフラッグシップモデルと言える。日経テクノロジーオンライン分解班は同機を入手し、多くの技術者の協力を得て分解・分析を試みた。
明らかになった大きな変化は、メイン基板がスペーサーを挟み込んで重ねる「2枚重ね」の構造になったこと。電池を2個に分割してL字形に並べ、充電容量を高めた事に伴う措置で、メイン基板がiPhone Xの本体内で占める面積は、iPhone 8 Plusと比べて約20%小さくなっている(図1)。
解析に協力してくれた技術者たちを驚かせたのは2枚の基板の接続方法である。
Apple社はスペーサーに、2枚の基板を電気的に接続するインターポーザーの役割も兼ねさせる構造を採用していた(図2)。樹脂製のインターポーザー(スペーサー)は、下側基板のSIMカードスロットの場所以外の外縁部を壁のように囲み、その上にもう1枚の基板をかぶせている。インターポーザーと基板の接続にははんだを利用、インターポーザーの貫通穴(スルーホール)にはんだを充填して上下の基板を電気的/物理的に接続して一体化していた。2枚の基板をつなぐインターポーザーの厚みは2mm弱。この厚みの中、上下面の部品高さを調整するのは至難の業だろう。