日産自動車は2017年9月6日、2代目となる新型の電気自動車(EV)「リーフ」を発表した(図1)。リチウム(Li)イオン2次電池の容量を増やして航続距離を延ばすとともに、駐車支援システム「プロパイロットパーキング」を採用した。同社のミニバン「セレナ」から導入している先進運転支援システム(ADAS)「プロパイロット*1」も搭載する。
*1 プロパイロット 先行車追従と車線維持を行うシステム。
同社は同年10月2日に日本で新型リーフを発売し、2018年1月から米国やカナダ、欧州で順次出荷を開始する予定だ。国内で発売する車両は追浜工場(神奈川県横須賀市)で生産する。価格は廉価グレードである「S」の315万360円から。プロパイロットやプロパイロットパーキングといった先進機能を標準装備する最上位グレードの「G」は399万円600円である。
同じ大きさの電池パックで容量増大
新型リーフは、Liイオン2次電池の電池パックの電池容量を40kWhに増やした*2(図2)。これにより、航続距離をJC08モード*3で400kmまで延ばしている。
*2 単体の電池である電池セルを複数接続して端子を取り付けたものが電池モジュール。電池パックは複数の電池モジュールをセンサーなどと共に接続して収めたものを指す。
*3 JC08モード 現在日本が採用する自動車の試験方法。複数の走行パターンを通じて対象の自動車を試験する。
日産自動車はリーフの航続距離を徐々に延ばしてきた。2010年に発売した初代リーフは、電池容量が24kWhの電池パックを積んで200kmだった。2012年の部分改良で228kmに延ばし、2015年の部分改良では電池容量が30kWhの電池パックを採用して280kmまで延長していた。
新型リーフの電池パックは24個の電池モジュールで構成されており、1つの電池モジュールには8個のラミネート型のLiイオン2次電池セルを収めた。電池パックの大きさは電池容量30kWhの前モデルと同等に抑えつつ、電池容量は40kWhに増やした。電池セルのエネルギー密度は240Wh/kg程度と見られる。電池セルの電極密度を高め、エネルギー密度を向上させた。電池セルの厚さは従来とほぼ変わらない。
同社は電池の基礎研究を大学や研究機関と協力して進めている。例えば、大型放射光施設「SPring-8」などを利用し、充電中や放電中に電極内で起きている現象や電池劣化のメカニズムなどを研究してきた。こうして培った知見を新しい電池パックに生かしたという。加えて、性能の劣化も抑えており、電池寿命が2倍以上になっている。