図1 PC-98置き換えサービスのイメージ
図1 PC-98置き換えサービスのイメージ
エミュレーターとWindows機を提供し、PC-98から置き換える作業を請け負う。
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 かつて一世を風靡した、NECのパソコン「PC-9800」シリーズ(以下、PC-98)。販売は2003年で終了したが、ものづくりの現場では生産設備や計測機器のコントローラーなどとして今も非常に多くのPC-98が稼働している。そのPC-98を「Windows」パソコン(以下、Windows機)に置き換えるサービスを、NECの販売特約店である三保電機(本社鳥取県米子市)が始めた(図1)。

IoTにも対応

 このサービスは、PC-98の標準的なOSである「MS-DOS」のエミュレーション環境をWindows機に構築し、PC-98による生産設備や計測機器の制御をWindows機で再現するというもの*1。ユーザーから見ると、長年の稼働実績がある制御プログラムをほぼそのままWindows機に低コストで移植できるというメリットがある。既に、半導体メーカーや半導体製造装置メーカー、鉄鋼メーカー、工具機器メーカーなどによる採用実績があるという。

*1 現状では、「Windows 7」「同8」に対応する。「同10」への対応も検討するという。

 PC-98では、外部機器との接続インターフェースとして、シリアル通信の「RS-232C」、パラレル通信の「IEEE 1284」(いわゆるセントロニクス仕様)、拡張スロットの「Cバス」などがある。これらのインターフェースがWindows機でもリアルタイム性を確保しながらきちんと動作するように、三保電機では各種ドライバーのエミュレーターを独自に開発している。

 三保電機がこのようなサービスを手掛けるのは、PC-98の販売終了から10年以上が経過し、PC-98の運用が難しくなってきたからだ。従来、ユーザーは主に中古市場でPC-98の本体や回路基板などを入手し、ハードウエアを交換しながらPC-98を運用してきた。しかし、中古市場に出回るハードウエア自体が減り、そうした“綱渡り”的な運用に限界が見えてきたのである。