製品だけではなくサービスでも稼ぐ──。DMG森精機が事業構造の変革を進めている。主力製品の工作機械に加えて、顧客の生産ラインの自動化やIoT(Internet of Things)化といったエンジニアリングサービスを新たな収益源として育てる戦略だ。同社が2020年度(2020年12月期)に掲げる連結受注額目標5000億円(直近の2016年度実績は3670億円)のうち、10%以上に当たる500億~600億円をエンジニアリングサービスで見込む(図1)

図1 DMG森精機の連結受注額
図1 DMG森精機の連結受注額
2020年度に5000億円を目指す。直近の2016年度実績は3670億円だった。
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、現状で収益の大部分を占めているのは工作機械である。工作機械をさらに伸ばしつつ、エンジニアリングサービスの需要も併せて取り込む。特に工作機械の主要ユーザーである中小企業では人材などのリソースの確保が難しく、自動化やIoT化までは手が回っていないため、大きなビジネスチャンスがあると見る。

 足元の状況でも、工作機械の事業は依然として順調である。市場規模も拡大基調だ。低価格を武器に新興国メーカーが台頭した時期もあったが、「精度や耐久性への要求が年々厳しくなっており、高い技術力がなければ対応できない。『ニセモノの時代』は終わった」と同社代表取締役社長の森雅彦氏が話すように、日本をはじめとする先進国メーカーが再び力を発揮しやすい局面を迎えている。それでもエンジニアリングサービスに力を注ぐのは、「自動化やIoT化で得られた最新の知見を全世界に展開すれば、どんな要求にも応えられるようになる」(同氏)からだ。