「発見した今回の新炭素材料を観察してみると、カーボンナノチューブ(CNT)にはない要素を確認できた」(NEC IoTデバイス研究所主任研究員の弓削亮太氏)──。
NECは「世界初」(同社)となる炭素材料「カーボンナノブラシ」を発見したと、2016年6月30日に発表した(図1)。先端が角のように閉じた構造を持つカーボンナノホーン(CNH)が、繊維状に集合してできた炭素材料である。同じ繊維状の炭素材料であるCNTと似た構造だが、細かな凹凸などが見えることから別の材料だと分かった。
「カーボンナノブラシは、CNTの電気を通しやすい性質とCNHの比表面積が大きい性質という2つを併せ持った材料」(同社 特別主席研究員の飯島澄男氏)であり、さまざまな用途への適用が想定されている。まず導電性が高いため、蓄電池の導電材に応用すれば充放電速度を10~15%速くできる。比表面積が大きい点を利用すれば、変形量が大きい高分子アクチュエーターを開発することも可能となる*1。