現在、自動車のセンターピラーなどのボディー骨格部品は、強度や成形性の異なる高張力鋼板を溶接した後に、プレス成形して製品にする場合が多い。「テーラードブランク」と呼ぶ材料である。

 こうした中、神戸製鋼所は機械的特性の異なる複数のアルミニウム(Al)合金を積層し、高強度と成形性を両立させる「積層型Al合金」の開発を進めている。高張力鋼板製テーラードブランク材の代替を狙う。2020年以降の採用を目指し、自動車メーカーへの提案を始める計画だ。

 Al合金は高張力鋼板よりも材料コストが高く、溶接が難しい。そのためAl合金のテーラードブランク材で骨格部品を造ると、高張力鋼板のテーラードブランク材で造った骨格部品より製造コストは4倍以上高くなると見られる。

 これに対して、部品の場所によって強度や成形性が異なる骨格部品を積層型Al合金で一体成形できれば、溶接が不要になる他、部品点数を減らせるため、高張力鋼板のテーラードブランク材で造った骨格部品との製造コストの差を縮められる。積層型Al合金の製造コストをどこまで下げられるかが、実用化に向けた課題になる。