パナソニックは社外や社内他部門にある知見を積極的に取り入れ研究開発を進めていくため、大阪・西門真の本社地区の研究拠点内に「Wonder LAB Osaka」、東京・有明に研究拠点として「パナソニックラボラトリー東京」を2016年4月に新設した(図1)。世界的に研究が急ピッチで進むIoT(Internet of Things)や人工知能(AI)を応用した製品の開発を強化する。

図1 新設した「Wonder LAB Osaka」と「パナソニックラボラトリー東京」
図1 新設した「Wonder LAB Osaka」と「パナソニックラボラトリー東京」
研究拠点の一部を外部に開放することで、顧客や他社の知見を取り入れる。Wonder LAB Osakaは実証実験など、パナソニックラボラトリー東京は外部の人材と顔を突き合わせての共同研究に重点を置く。
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 従来の「全ての要素技術を自社で研究開発していた」(同社 代表取締役専務の宮部義幸氏)スタイルと一線を画して、これまで以上に顧客が求める製品の実現や実用化までの開発スピード向上を目指すという。

 現在オープンイノベーションとして、社外の専門家や顧客と共同で研究開発を進める企業が増えつつある。その中で同社は、大阪でさまざまな人を招いて研究成果の実証実験を進め、立地の良い東京では研究のテーマに応じた人材交流によって開発強化を図る、という2段構えの体制を整えた。

 今までであれば、研究中のテーマや新製品の情報はなるべく秘密にしていた。しかしそれでは、世の中のIoTやAIの進展に付いていけなくなる、という危惧の方が大きくなってきた。これからは、むしろ早めに情報を顧客などに提供して、その反応を見ながら研究するべきではないかという考えで、新たな施設と拠点を設置した。