ソフトバンクは、ものづくりに興味を持つ企業や個人に対して製品企画から販売までを支援するサービス「+Style(プラススタイル)」を開始したと発表した(図1)*1。このサービスを利用すれば、製品のアイデアや試作、製品化といった段階に応じて、インターネットを介した外部ユーザー(一般の人など)から意見集約や資金調達、商品売買の関係を築くことができる。

図1 新しいサービスの構造
図1 新しいサービスの構造
サービスを利用する企業や個人は、[1]ユーザーから意見を募るプランニング、[2]購入希望者を集めるクラウドファンディング、[3]商品の販売などができるショッピング、という3つの機能を利用できる。
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*1  ソフトバンクは2016年3月30日、「+Style」を開始するという記者会見を行った。ソニーやCerevoなどサービスを利用する企業も集まり、販売開始・開発中の製品を会場内で披露した。

 新しいサービスは以下の3つの機能を備える。[1]企業や個人が提示した製品アイデアに対して外部ユーザーから意見を募るプランニング機能、[2]事前に購入希望者を集めるクラウドファンディング*2機能、[3]商品の販売と購入ユーザーの意見をフィードバックするショッピング機能、である。新しいサービスを利用する企業や個人はこれらの機能のどれでも利用することが可能だ。

*2  インターネットを通じて多数の人から資金調達する手法。

 主に外部ユーザーから資金を募るクラウドファンディングを基にしたサービスである。だが、従来のクラウドファンディングとは違い、新しいサービスを利用すれば資金調達に成功した製品をWeb上で販売することに加えて、ソフトバンクショップのような実店舗で販売できる可能性もある。

製品アイデアから販売までを支える企業

 ソフトバンクでは新しいサービスを利用する企業や個人とともに、このサービスを支援する企業「ものづくりサポーターズ」も募っている。これらの支援企業が製品の試作や販売を支える体制を整えている(図2)。これにより、企業や個人が「アイデア1つからでも参加できるようになる」と同社サービスプラットフォーム戦略・開発本部 担当部長の近藤正充氏は言う。

図2 新しいサービスを支援する企業群
図2 新しいサービスを支援する企業群
新しいサービスでは、「ものづくりサポーターズ」に参加するさまざまな企業がものづくりを支援する。そのため新しいサービスを利用する企業や個人は、アイデア1つからでも製品が造れる。
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 新しいサービスを支援するものづくりサポーターズには、現在24社が集まっている。その中には米Intel社や米Qualcomm社、台湾鴻海精密工業といった世界の大手企業も入っており、試作や量産化、販路開拓などを支援する予定だ。各社の役割はまだ明確に決まっていないものの、「鴻海精密工業には製品の量産化を期待している」(同氏)という。

 ソフトバンクは、新しいサービスを利用する企業や個人からアイデアや製品を提供してもらい、販売につなげるために必要な製造やマーケティングなどを手助けできる企業をものづくりサポーターズの参加企業から斡旋するという。新しいサービスを利用する企業にはソフトバンクの担当者を派遣し、プロジェクトを一緒に進めていく。また同社はものづくりパートナーズと共に、アイデアコンテストを開催することも視野に入れている。