沖電気工業(OKI)は、電子機器のEMS(電子機器受託製造サービス)や設計、品質保証を合わせて請け負う事業「Advanced-M&EMS」において、本庄工場の生産ラインの状況をほぼリアルタイムで顧客に開示する情報サービス「Advanced-NAVI」を開発した。既にサービスを開始しており、大型電子設備機器(通信基地局)の製造受託案件については進捗状況を、医療機器の案件については品質情報を提供している例がある。

顧客が出荷予定を見て平準化

 OKIはAdvanced-M&EMSの一環で、海外のEMSの製品を受け取り、品質を検証・確保したり、ソフトウエアをインストールしたりした上で出荷し直す「ステージングサービス」を実施している。このサービスにおいて、顧客(海外EMSに製造を、OKIにステージングを委託している企業)向けにAdvanced-NAVIによる情報提供を開始した。

 ステージングサービスで扱う製品の1つに、通信基地局がある。1~数十台のロットで注文があり、この注文の1つひとつについて現在の進捗状況や品質情報、出荷見込みなどをリアルタイムで顧客に開示する。進捗状況については、例えば「ある注文のうち9台は作業が終わっているが、残り1台に不良が見つかって対応作業をしている」といった細かいことも分かるようになっている(図1)。

図1 OKIが開始した、工場データの取得・公開サービス
図1 OKIが開始した、工場データの取得・公開サービス
電子機器のEMSの顧客に対して、生産ラインの現況を知らせる。
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 顧客は進捗状況と出荷の見込みが分かることで、通信基地局の設置工事の手配がスムーズにできるようになる。設置工事は一時的に交通を止めるなどの措置が必要になることが多く、事前に当局へ申請しておく必要がある。顧客はAdvanced-NAVIの情報をこれらの手配や変更時の調整などに使えるわけだ。