工場におけるカイゼン活動の一環として、さまざまな作業を効率化する“からくり”を導入する生産現場は多い。カムやリンク機構などを駆使して、少ない動力源で複雑な動きを実現するからくりには、現場のアイデアが満載だ。しかし、からくり自体を完成させる時間やコストが増えるようでは本末転倒である。

 そこで、からくりを素早く完成させることに取り組む例が増えてきた*1。例えばマツダは、組み立て玩具の「レゴブロック」を使ってからくりの模型を作製し、機構の動作検証などに活用することで手軽に試行錯誤できるようにしている。また、カルソニックカンセイは3Dプリンターを活用し、からくりを構成する部品の作製時間を短縮した。これらの取り組みは、からくりの作製時間短縮だけでなく、からくりの完成レベルを高めることにもつながる。

*1 からくりによる改善事例の展示会である「からくり改善くふう展」(2015年10月1~2日、日本プラントメンテナンス協会主催)では79社の企業が集まり、369作品のからくりを展示した。本記事で紹介する2つのからくりは、同展示会に出展された作品である。