タムロンは、星明かりもほとんどないような暗闇(0.003ルクス)でも超高感度により鮮明なカラー画像を取得でき、明暗差が1000万倍(140dB)の幅広いダイナミックレンジでも階調表現が可能なイメージング技術を開発した(図1)*1。まずは、交通監視システムや屋外用セキュリティーシステムのカメラモジュールを2017年夏以降に製品化する計画だ(図2)。自動運転車における車外認識デバイス、医療用の内視鏡、生産現場の検査装置などでも超高感度と広ダイナミックレンジに対するニーズは高い*2。ドローンやアクションカメラなども含めて市場を開拓し、新たな事業の柱としたい考えだ。

*1 同技術の開発は、科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)のうち、平成26年度第1回募集における「産学共同促進ステージ(シーズ育成タイプ)」の新規課題として採択された。課題名は「今までにない超高感度・広ダイナミックレンジ特性を有するカメラモジュールの開発」、研究者名が静岡大学電子工学研究所教授の川人祥二氏、企業名がタムロンである。
*2 医療向け内視鏡では、強い光を当てなくて済むようになる。
図1 高解像度と広ダイナミックレンジの例
図1 高解像度と広ダイナミックレンジの例
(a)0.003ルクスの低照度下でもカラー画像を撮影できる。(b)140dB(1000万倍)のダイナミックレンジを持つため、ヘッドライトを浴びながらも車内の人を確認できる。
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図2 試作したカメラモジュールの外観
図2 試作したカメラモジュールの外観
CMOSセンサー、レンズ機構、画像処理を一体で開発した。写真のカメラモジュールでは、30倍のズーム機能を備える。
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