アマダホールディングスは、板金加工機械(パンチングマシン)に装着する金型の新しい工場を岐阜県土岐市に建設し、2017年7月に生産を開始する*1。IoT(Internet of Things)の活用と自動化を徹底したことが新工場の特徴。これにより、平均納期の半減と生産能力の50%向上を実現する。

*1 土岐事業所の敷地内に新設する。2016年3月に着工した。工場の延べ床面積は6100m2、投資額は約100億円。

金型IDを刻印して個別管理

 新工場で生産するのは、パンチングマシン用金型のうち小径のパンチとダイ、ガイド(図1)。それぞれサイズや材質、形状などの違いで複数種類あり、標準品だけで合計128種の金型をラインアップする。さらに、刃先の形状や寸法が客先指定の場合もあり、対応すべき金型の種類は膨大だ。従来、小径の金型は神奈川県の伊勢原工場で生産していたが、これを移管する*2。現在の月産本数は約2万本で、これは同社が生産するパンチング金型の約8割に相当する数だ。

*2 土岐工場の立ち上げ後、伊勢原工場はベンディングマシン用の金型とパンチングマシン用金型の特型を生産する工場へと再編する。
図1 パンチング標準金型の構成
図1 パンチング標準金型の構成
新工場では、小径のパンチとダイ、ガイドを製造する。それぞれでサイズや材質、形状などの違いがあり、組み合わせでパンチが64種、ダイが24種、ガイドが40種の計128種がある。さらに刃先形状が6種あり、刃先寸法は客先指定のため膨大な種類となる。
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 新工場は、工場のデジタル化とネットワーク化を進める同社の「VPSS(V-Factory)」構想に基づき、全ての設備やワークをネットワークでつなぎ、稼働状況や工程進捗、負荷状況、製品トレーサビリティー情報をリアルタイムに管理。在庫や納期の情報を顧客がWebを介して見える工場を実現する。工場内でも、稼働状況をリアルタイムでモニターすることで、設備ごとのアラーム情報を確認でき、不具合発生時には保全担当者へメールを送信する仕組みも構築する*3。この他、工具にIDを付けて工具補正や寿命管理も行う。

*3 新工場は24時間の無人稼働を行うため、設備の稼働状況や加工品質実績から予防保全を行う必要性などを通知するアラーム機能を備える。
図2 金型に刻印された2次元コード(金型ID)
図2 金型に刻印された2次元コード(金型ID)
半成り工程で研磨(仕上げ)した後、全ての金型に対して金型IDをレーザーで刻印する。以降の工程では、金型IDに基づいて個体管理していく。
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 ワークについては、2次元コードをレーザーで刻印する「金型ID」を活用する(図2)。パンチング金型に関しては約6年前にID化を開始しているが、新工場では全ての金型のID化を行い、工程内での見える化とトレーサビリティー管理を実現する。なお、金型IDを刻印する前の金型に関しては、RFIDを組み込んだコンテナーで管理する。