2019年に小型SUV(多目的スポーツ車)の電気自動車(EV)「Model Y」を発売する─。2017年6月上旬、米Tesla社の最高経営責任者(CEO)であるElon Musk氏は米シリコンバレーで開いた株主総会で次の一手を明らかにした。

 Tesla社は同年7月に次世代の小型セダンEV「Model 3」の生産を開始し、年内発売を予定する(図1)。価格は、現時点で主力の大型セダン「Model S」やSUV「Model X」の半額に当たる3万5000米ドル(約390万円)からと手ごろで、すでに30万台以上の予約が入っている。

図1 Tesla社のEV「Model 3」
図1 Tesla社のEV「Model 3」
2017年7月に生産開始を予定する小型セダンで、2019年に発売を予定する「Model Y」の性能、価格帯も同程度になることが予想されている。
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 Tesla社の2016年のEV販売台数は8万台程度。まさに勝負をかけるModel 3の発売を控えたこのタイミングで、Musk氏がModel Yの発売を明らかにしたのはなぜなのか。2018年に年間50万台規模の自動車メーカーになるという目標は、Model 3の予約状況を考えると十分に達成可能な情勢。だからこそModel Yの投入時期を公表しても、Model 3の買い控えにつながらないと判断した。

 「Model YはModel 3以上に売れるEVになるだろう」。Musk氏はこう強調する。世界的にSUVの人気は高まっており、セダンと比べた販売は拡大を続けているからだ。詳細な仕様は明らかにしなかったが、性能や価格帯はModel 3と同程度になるものとみられる。