「工作機械の本体だけでは差がつきにくい状況になっている。そこで開発したのが『テクノロジーサイクル』だ」。DMG森精機代表取締役社長の森雅彦氏は、同社が2016年6月7~11日に伊賀事業所(三重県伊賀市)で開催した顧客向け展示会「IGA INNOVATION DAYS 2016」の記者会見でこう切り出した*1。同展示会の大きな見所となった「テクノロジーサイクル」は、同社が他社との差異化を実現するための戦略の1つだ。

*1 3500m2の展示スペースに58台の最新機種、500点のワークなどを展示。内製化を進めているユニットについても、実物を展示した。

工作機械の付加価値を高める

 テクノロジーサイクルは、複雑な加工などを短時間で実現するための新しいソリューション。計測機能の提供やメンテナンス性・安全性の向上も実現する。現時点で14種類を用意しており、そのうちの10種類を今回の展示会で世界初公開した(表)*2

*2 14種類のテクノロジーサイクルのうち、世界初公開となるのは10種類。「DMG MORI gearMILL」「ギヤスカイビング」「MPC(Machine Protection Control)」「3Dクイックセット)」の4種類は既に公開されていた。

表 世界初公開したDMG森精機のテクノロジーサイクル
表 世界初公開したDMG森精機のテクノロジーサイクル
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 例えば、「ギヤホビング」と呼ぶテクノロジーサイクルは、ホブを用いたギア加工のプログラミングをサポートするもの。入力画面にギアの歯数や長さなどのパラメーターを対話形式で入力するだけで、簡単にホブ加工を実現する。「従来は10時間かかっていた作業が10分で済むようになる」(森氏)。ホブカッターの有効刃長を最大限に生かすように均一に使用し、工具の寿命を延ばすような機能も持つ。