中国Lenovo社の大和研究所は、スズ(Sn)-ビスマス(Bi)系の低温はんだを使えるリフローはんだ付けプロセス(以下、低温はんだプロセス)を開発、実用化した(図)。Sn-Bi系の低温はんだは鉛(Pb)を含まずに低温でリフローはんだ付けできる利点がある半面、接続信頼性が低くなりやすいという課題があり、実用化に至っていなかった。

図 低温はんだプロセスを適用したノートパソコンのメイン基板
図 低温はんだプロセスを適用したノートパソコンのメイン基板
「ThinkPad X1 Carbon」のメイン基板である。Lenovo社の通常製品に課すのと同様に、−40~+85℃×1000サイクルの温度サイクル試験、85℃相対湿度85%の環境下に電圧を加えた状態で1000時間放置する高温高湿試験、120℃環境下に1000時間放置する高温放置試験や振動・落下衝撃を加える試験などを行い、すべてクリアすることを確認した。 写真:レノボ・ジャパン
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 今回の低温はんだプロセスでは、リフローはんだ付けの最高温度を従来のPbフリーはんだであるSn-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだに比べて約70℃低い180℃にできるため、リフロー炉の電気代などの実装コストを下げられるとする。接続信頼性は同社で「ThinkPadレベル」と定める基準を満たすことを確認し、第1弾としてノートパソコン(PC)「ThinkPad Eシリーズ」に適用、2016年12月から出荷している。同社は今回のプロセスに関して、フラックスやリフロー温度プロファイル、ステンシルや治具などのデザインといった実装時の最適条件をまとめ、2018年秋から公開していく予定とする。