スイスABB社は、オーストリアのFA機器メーカーであるBernecker + Rainer Industrie-Elektronik(B&R)社を買収すると2017年4月に発表した。その狙いは、B&R社の保有する制御技術やソフトウエアなどを取り込み、工場のスマート化に関する提案力を強化することだ(図1)

* 買収は2017年夏までに完了させるという。買収額は公表していない。

図1 ABB社とB&R社の事業領域
図1 ABB社とB&R社の事業領域
ABB社になかったコントローラー製品群や関連技術をB&R社の買収で補った。ABB社の資料を基に作成した。

 B&R社は、生産ラインや機械の制御に使われるPLC(Programmable Logic Controller)や産業用PC(IPC:Industrial PC)、サーボ機構ベースの自動化設備などを手掛ける企業である。近年は、ドイツが推進する「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」において標準的な通信規格と位置付けられている「OPC UA」や、スマート工場向けに技術開発や実証実験が進む「Ethernet TSN」といった産業用ネットワークの領域でも存在感が高まっていた1、2)