米General Electric(GE)社が提唱した「Industrial Internet」。この概念を世界に広げる取り組みを強力に推し進めているのがGE社などの米国企業を中心に設立されたIndustrial Internet Consortium(IIC)である。IICが思い描いている産業の将来像や日本企業への期待をCTO(最高技術責任者)のStephen Mellor氏に聞いた。

写真:谷山 實
写真:谷山 實

 IICは、インターネットの産業利用によってビジネスに革命を起こそうとする団体です。経済そのものを変革するという、非常に壮大な使命を持っています。それでは、IICは具体的に何を実現するのか。正直に言えば、まだはっきりとは見えていません。しかし、だからこそ取り組む価値があると考えています。

 例えば、最近の注目すべき動向として「シェアリングエコノミー」があります。世の中で余っている物や人材をみんなで共有し、必要なときだけ利用できるという便利なサービスが次々と登場していますが、インターネットの草創期にシェアリングエコノミーの到来を予想した人が果たしてどれだけいるでしょうか。IICの活動も、それと同じです。たとえ今は明確なイメージが見えなくても、将来の変革に向けて動き始めることが重要なのです。

* シェアリングエコノミーの代表的な例として、自家用車をタクシーのように活用する配車サービス「Uber(ウーバー)」(米Uber Technologies社)や、自宅をホテルのように活用する宿泊サービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」( 米Airbnb社)が挙げられる。

 当初のメンバーは、米AT&T社、米Cisco Systems社、米IBM社、米Intel社、そしてIndustrial Internetを提唱した米GeneralElectric(GE)社の5社です。各社がインターネットの産業利用に関連したプロジェクトを独自に推進する中で、ビジネスモデルの構築や基礎技術の開発について多くの共通点があることが分かりました。それなら、各社がバラバラに進めるよりも、みんなで協力した方が良いのではないかという話になったのです。こうして、非常にこぢんまりとした形でIICの前身となる組織が生まれました。2013年末のことです。