トヨタ自動車が開発に注力する燃料電池車(FCV)は、水素を燃料として使う環境車である。FCVを普及させ、水素エネルギー社会の実現を目指す。2016年4月に新設された先進技術開発カンパニーPresidentの伊勢氏に、トヨタ自動車が目指す環境車の戦略と、人工知能(AI)の展開などについて聞いた。

(写真:栗原克己)
(写真:栗原克己)
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 「2050年にはガソリンやディーゼルのエンジン車の販売はほぼなくなる」。2015年10月にトヨタ自動車が開催した「環境フォーラム2015」で私がこう発言したことは波紋を呼びました。

 私が伝えたかったのは、内燃機関であるエンジンを搭載したクルマは、今後の主役ではなくなるということです。環境問題への対応が求められる中、エンジンのみを搭載するクルマの販売は大幅に減少するでしょう。だからこそ、今後の自動車メーカーはハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などの環境車の開発を積極的に進める必要があるのです。