ソニーが選択と集中を大掛かりに進め始めた。ここ数年間、業績面で足を引っ張っていた電池事業を村田製作所に譲渡することを決断。その一方で、グループ全体を挙げて注力する姿勢を明確に打ち出したのがVRである。ソニーで技術開発を統括する執行役副社長の鈴木智行氏に今後の戦略を聞いた。

鈴木 智行(すずき・ともゆき)
鈴木 智行(すずき・ともゆき)
1954年8月19日生まれ。1979年4月にソニー入社。1997年7月から、セミコンダクタカンパニー CCD システム部門 CCD 商品部 統括部長。2004年6月以降、業務執行役員。2005年10月に、半導体事業グループ イメージングデバイス事業本部長に就任。2010年4月以降、ソニーモバイルディスプレイ 代表取締役社長を務める。2012年4月にソニー 執行役EVP、2014年1月にソニーエナジー・デバイス 代表取締役社長に就任。2015年4月以降、現職。2016年4月に、R&Dプラットフォーム担当、エナジー事業、ストレージメディア事業担当に就く。(写真:栗原 克己)

──ソニーが電池事業を村田製作所に譲渡すべく協議を進めています。非常に大きな決断ですが、どういう考えの下でこうした結論に至ったのですか。

 主力のスマートフォン向けのポリマー電池は、競合他社が多数存在し、非常に競争が厳しい分野で、我々も収益力改善に取り組んできました。また、技術的に優位性のある電動工具などのパワーツール向け液系筒型電池へのリソースシフトも進めてきました。

 この領域で勝ち抜くためには、さらにリソースを投入して開発力や製造力を強化する必要があります。

 一方、村田製作所は、電子部品事業におけるリーディングカンパニーであられ、エネルギー分野の中核に電池事業を据える狙いをお持ちでした。そこで、ソニーの培ってきた電池事業の技術力と事業経験を村田製作所が継承すべく協議を進めていくのがいいという結論に至りました。