中国政府が海外半導体メーカーやその事業、技術を次々と買収している。しかし、買われる側の企業や行政の反発は少なくない。そこで中国側は“攻め方”を変えてきた。会社でなく技術を買って圧倒的な資金力で量産に持ち込む、撤退事業を買い取る戦略などだ。
中国政府がICの国産化を一気に進めている。2014年6月に発布した「国家集成電路産業発展推進綱要」に基づき2020年までに半導体企業に投じる予算は実に5000億人民元(1人民元=15円として7.5兆円)以上注1)、1)。目指すは、2030年にIC産業の各業界でトップグループに立つ中国企業を生み出すことだ(表1)。
中国政府は、国家資本主義注2)に基づき産業振興に湯水のごとく金を使える。使途となった企業は、固定費をほとんど負担しない。それが液晶パネル産業では成果を生んだ。象徴は、中国Tianma Micro-electronics(天馬)社の中小型品だ。ジャパンディスプレイやシャープの製品に比べて「品質で遜色ない上に格段に安い」(台湾のスマートフォンブランド企業)。日本製品なら22~23米ドルのところが、Tianma社製品ならたった12~13米ドルで済む。同社は、台湾AU Optronics(友達)社やNEC出身者を迎えて品質問題を解決した。