パソコン業界の雄である米Intel社。ここへきて、メモリー技術で業界に新たなイノベーションを起こそうと動き出した。NANDフラッシュメモリーの1000倍という高速アクセス性能を武器に、DRAM機能の一部代替も目指す。同社が2015年8月に米国サンフランシスコで開催した開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)2015」で、Intel社が新型メモリーに懸ける狙いが透けて見えた。

 「開発するのはあなた(Developed By You)─」

 米半導体大手のIntel社が、米国で開催した開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)」。基調講演に登壇した同社CEOのBrian Krzanich氏は、繰り返しこの言葉を聴衆に訴えた。ハードウエア開発ベンチャーなど、いわゆる「メイカーズ」のムーブメントを盛り上げようと、優勝賞金100万米ドルの開発コンテストをぶち上げるなど、「メイカーズを支援するIntel」という姿を強く印象付けた。

 しかし、半導体業界の識者が注目する今回のIDFの最大のインパクトは別にある。それは、「新型メモリー」だ。IDF直前に米Micron Technology社と共同開発を発表した不揮発性メモリー技術のことだ(図1)。CEOのKrzanich氏は基調講演でわずかに触れたにすぎないが、会期中の技術セッションはどこも参加者で会場があふれ返った。奇しくも今年は、Intel社のDRAM事業撤退から30年目に当たる。ある業界アナリストは「Intel社がメモリーの世界に帰ってきた。動きが止まっていた業界に、イノベーションが起きるのは間違いない」と興奮気味に語る。

図1 3D XPointについて発表
図1 3D XPointについて発表
Intel社は、「3D XPoint technology」の技術を使うメモリー製品を「OPTANE」と名付け、マーケティング展開を進める(a)。IDFでは、現行SSDに比較して5~7倍高速処理できること(b)や、2016年にDIMMモジュールとして発売することを明らかにした(c)。小型のSSDも2016年発売予定という(d)。
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