モバイル業界の祭典「Mobile World Congress 2017」が2017年2月27日~3月2日にスペイン・バルセロナで開催された。今年の目玉は、仕様作りが着々と進む第5世代移動通信システム(5G)。技術的には完成する一方、独自仕様と標準仕様の政治的な綱引きが、表面化した。展示では、5Gサービス開始後の新市場を見据えた製品やサービスが登場した。 (本記事は「日経エレクトロニクス」2017年5月号の「5G商用化が2019年に前倒しへ、仮想化技術の活用にも注目」の前編です)
22社が5G標準仕様の早期策定に合意
第5世代移動通信システム(5G)の商用化が、2019年にも開始される見込みになった。これまで2020年の開始が有力視されていた。NTTドコモなど、移動通信に関わる大手通信事業者や基地局ベンダー、半導体ベンダーなど22社が、5G標準仕様の早期策定に関する共同提案をすることで合意。移動通信業界の一大イベント「Mobile World Congress 2017」開幕前日の2017年2月26日に発表した注1)。
共同提案は、業界団体の3GPPが「Release 15」として定めるモバイルブロードバンド向けの5Gの仕様を、2段階で策定するという内容である(図1)。MWC後の3月6~9日に開催の「3GPP RAN Plenary Meeting」で可決された。