ヤマハ発動機は2017年10月、同社の人型ロボット「MOTOBOT」が、米国の1周3マイル(約4.8km)のコースで、時速200kmを超える自律走行を実現したと発表した(図1)。最短のラップタイムは117.5秒。目標としていた世界的なレーサーValentino Rossi選手が同一オートバイで記録した85.7秒には及ばなかったが、もう1つの目標だった時速200km超はクリアした。MOTOBOTは研究開発機関である米SRI International社とヤマハがシリコンバレーで共同開発。ヤマハ側から開発に参加したエンジニアの西村啓二氏と内山俊文氏(図2)、プロジェクトマネージャーの西城洋志氏への取材を基に、開発の詳細を解説する。

図1 バイクにまたがる人型ロボットの「MOTOBOT Ver. 2」
図1 バイクにまたがる人型ロボットの「MOTOBOT Ver. 2」
無改造の市販車を操縦する。重心を低くするために、バッテリーは脚部に搭載している。(写真:ヤマハ発動機)
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図2 ヤマハ発動機の内山俊文氏(左)と西村啓二氏(右)
図2 ヤマハ発動機の内山俊文氏(左)と西村啓二氏(右)
内山氏は車両運動のシミュレーションモデル化や軌道追従制御などの改良を、西村氏はHardware In the Loop Simulation(HILS)の設計やシフトチェンジ関連制御の設計などを担当した。
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