移動ロボットに使う3次元(3D)LIDARの市場に参入する企業が増えてきてた。パイオニアと日本信号が小型品を2015年9~10月に相次いで発表(表1)。コニカミノルタも同1月に独自開発品を発表、北陽電機も試作品の販売を開始した。

表1 主な3次元LIDAR
表1 主な3次元LIDAR
[画像のクリックで拡大表示]

 災害対応やサービス業などの現場でロボットが複雑なタスクをこなすには、水平面内の情報のみが得られる2次元(2D)LIDARでは不十分。ただし従来は3D LIDARの品種が少なかった。2015年6月開催の災害対応ロボットの国際競技会「DARPA Robotics Challenge」でも、多くのロボットが北陽電機製の2D LIDARを回転させて使っていた。

 パイオニアと日本信号は、MEMS技術を用いて3D LIDARの小型化や高信頼性を実現した。一般にLIDARは近赤外のレーザー光をパルス照射し、対象物で反射して戻るまでの時間(パルスの位相差)から距離を計測(ToF方式)。広範囲の情報を得るにはレーザー光を様々な方向に振る必要がある。多くのLIDARが光のスキャンにモーターを使うのに対し、2社はMEMSミラーを用いた。モーター駆動型と比べてミラー自体の実効面積は減るが、ミラー部を大幅に小型にできる。

 MEMSミラーは、Siウエハー上に半導体製造技術(エッチングなど)で直交する2対の梁(トーションバー)構造を形成する。梁には単結晶Si基板を用いており、「一般の金属より金属疲労なども起きにくい」(日本信号)ため、信頼性も向上させやすい。真空で気密封止すれば、ミラー駆動に伴う空気抵抗が減り、高速動作も可能になる。