「CEATEC JAPAN 2017」の会場では、IoTシステムを構成する要素技術でも新たな提案が随所にあった。CEATEC詳報の中編は、システムの入力を司るセンサー、データを処理する人工知能(AI)のそれぞれで、目立った展示や新たな潮流を紹介する(図1)。前編はこちら

図1 要素技術の展示も目白押し
図1 要素技術の展示も目白押し
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センサー
心の計測 や「センサーなし」も

 センサー関連の展示では、これまでセンサーで測れなかったものを精度よく検出する工夫と、センサーの性能やコストを改善する新たな計測原理のそれぞれで進展が見られた。前者の方向では、大手電機メーカーが感情や幸福度といった人間の内面を計測する技術をアピールしていた。後者の例としては、ベンチャー企業から「センサーなし」で人の動きなどを計測する方法や、斬新な原理のLiDAR(Light Detection and Ranging)などの展示があった。

感情や体調、幸福度を計測

 パナソニックは感情や体調の状態を既存の手法よりも高い精度で推定する「感情・体調センシング」を展示した(関連記事)。人の快・不快の感情や、眠気などの覚醒の度合い、温冷感などを非接触で推定できる。通常のカメラとサーモカメラという2つのセンサーを利用することで、映像のみを使う従来技術より推定の精度が向上したという(図2)。喜びの感情は90%以上、驚きや怒り、恐れなどは85%、眠気の推定では80%以上の正解率を実現したとする。買い物客の嗜好の調査や、従業員のストレスチェック、学生の授業への集中度の計測などの用途を想定する。

図2 パナソニックの開発した感情・体調センシングの結果の画面
図2 パナソニックの開発した感情・体調センシングの結果の画面
映像撮影用カメラとサーモカメラを利用する。
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 日立製作所はスマートフォンで組織やチームの幸福度を簡易的に計測できる技術を展示した(関連記事)。既に同社は、専用の装置を利用して組織のメンバーの運動データや会話回数を計測し、その結果から組織全体の幸福度を検出する技術を開発済みである。計測にスマートフォンを利用できるようにしたことで、人数の多い組織への応用が容易になるという。

 

 加えて同社は開発した計測技術を利用して、組織の幸福感を向上させるノウハウの蓄積や、その仕組み作りを進める取り組み「Happiness Planet(ハピネスプラネット)」を始めた。今回のCEATECで、2018年1月から開始する実証実験に参加する企業や団体を募集した。