2017年10月3~6日にかけて開催された「CEATEC JAPAN 2017」。民生機器の展示会から、IoT(Internet of Things)やCPS(Cyber Physical systems)を前面に押し出したBtoBの展示会に方針を大きく変えてから2回目の開催となる今回、大きな存在感を見せたのが、エレクトロニクス業界以外の企業の出展だ。異業種からの出展をはじめに、実用化を強く意識した展示が相次いだ。

 「大手電機メーカーが出展するHALL3の前に、最初に来てほしい」。CEATEC JAPAN 実施協議会 エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、HALL4に設営された「IoT TOWN」についてこう語った。IoT TOWNは昨年の2016年から続く特別テーマ展示で、IT・エレクトロニクス業界以外のIoTのユーザー企業が出展の中心となる。

 CEATECは昨年に民生用エレクトロニクス機器の展示会から、BtoB向けのIoTとCPSの展示会へと大きく方針を変えた。異業界からの出展が多いIoT TOWNは、そんな新生CEATECの象徴と言える。新規の出展者数は327社/団体で、全体の50%近くを占める。日本からの新規出展者は、金融、旅行、玩具、工作機械、自動車、印刷、制御といったエレクトロニクス業界以外の一般企業が中心だった。

アイデアから実用へ

 今年は、より実用に近いサービスやシステムの展示が増えた(図1)。異業界からの出展は、昨年もあったが、コンセプトどまりの事例がほとんどだった。

図1 異業種から実用化を見据えた展示が相次ぐ
図1 異業種から実用化を見据えた展示が相次ぐ
エレクトロニクス業界以外からの出展者の展示の一部。2016年から引き続き、今回も異業界からの出展が相次いだ。実用化に近いサービスやシステムの出展が増えた。
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 例えば、展示品数を昨年の3倍近く増やしたJTBグループである。指紋認証で買い物の支払いができる「Touch & Pay」や、外国人旅行者が荷物なしの手ぶらで観光できるようにする「LUGGAGE-FREE TRAVEL」など、実証実験や実サービスを開始予定のサービスの展示を増やした。

 同様に、三菱UFJフィナンシャル・グループは社内で実証実験中の仮想通貨「MUFGコイン」を使える自販機を、バンダイナムコグループは来年発売を予定するコミュニケーションロボットを出展するなど、実用化を意識した展示が多かった。エレクトロニクス業界の企業も、工場や農業、家庭、健康、スポーツ・レジャーといったさまざまな分野で具体的な使い方を想定したIoTサービスやシステムを提案していた(図2関連記事)。

図2 IoTの要素技術や応用サービスが前進
図2 IoTの要素技術や応用サービスが前進
CEATEC JAPAN 2016で注目を集めた展示の例を示した。IoTシステムに必要な、データの「入力」、データの「処理」、処理の結果を反映する「出力」など、それぞれの段階で利用する要素技術が多数出展されていた。加えて、IoTを用いたサービスの展示も多かった。いずれも実用化に向けて着実に前進していることを印象付けた。
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 以下では、CEATEC JAPAN 2017で注目を集めた展示や新しい動きを、応用先や要素技術を分野ごとに解説していく。