電子回路産業を中心とした展示会「JPCA Show 2016」が2016年6月1~3日に東京ビッグサイトで開催された。フレキシブル基板は高放熱や高耐熱といった特性を向上させており、車載分野での応用例がさらに広がろうとしている。また、車載分野を足掛かりに、立体的な回路実装技術が広がる可能性が見えてきた。

 「車載向けのフレキシブル基板(FPC)は、右肩上がりに伸びている」─大手フレキシブル基板メーカーの説明員の言葉を裏付けるかのように、「JPCA Show 2016」のプリント配線基板の展示では、車載向けフレキシブル基板が目立っていた。

 駆動部分やセンサー、制御回路があちこちに配置される自動車では、基板同士を結んでいる配線のワイヤーが長くなってしまう。この配線のワイヤー部分で部品点数を減らすために活用されているのが、フレキシブル基板だ。

 フレキシブル基板は、ポリイミドなどの絶縁性フィルムに銅箔などの導電性金属を貼り合わせて配線パターンを形成したもので、屈曲性が高く、構造部品などの形状に合わせて配置できる。3層以上の多層構造も可能で、かつ部品を実装できるため、最近では配線部分と部品実装部分の両方をフレキシブル基板で実現する例が増加している。「基板とワイヤーを一体化することでコネクターが省ける。束ねる、曲げるといった組み立て工程も減らすことができ、コストが1/3になったという顧客もいた」(同説明員)。フレキシブル基板は軽量化にもつながる。車載向けフレキシブル基板は今後さらに増える可能性が高い(図1)。

図1 車載向けフレキシブル基板の用途が拡大
図1 車載向けフレキシブル基板の用途が拡大
基板間の接続にとどまらず、デザイン性を重視するデイライト用のLED基板のように、形状の自由度を生かし、基板そのものとして使われるようになり始めた。これまでフレキシブル基板の弱みだった“放熱性”や“耐熱性”の課題を解決して、さらに用途を拡大しようとしている。
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