リコーは、GPS電波が入らない屋内でドローンの自律飛行を可能とする広角ステレオカメラを開発した。産業用ロボットで実績のあるステレオカメラの技術を応用(図1)。カメラで計測した点群情報から、自己位置や移動距離をリアルタイムに算出し、IMUの情報と組み合わせることで、GPSと比べて数10倍に当たる数10cmの精度で自己位置を推定できる。全ての処理はドローン単体で完結する。外部のパソコンなどで処理する場合と比べてリアルタイム性が高い。

図1 リコー、ブ ルーイノベーション、東京大学の3者が開発した屋内向けドローン
図1 リコー、ブ ルーイノベーション、東京大学の3者が開発した屋内向けドローン
ジャパン・ドローン2016の会場でのデモの様子(左)。ドローン中央下部のジンバルに、リコーがドローン向けに開発した広角のステレオカメラを斜め45°下向きに設置した。 機体はブルーイノベーション製で、 8つのローターを有する。東京大学は、自律飛行のための制御部を担当した。(写真左:リコー)
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 リコーは、同社の画像技術を複合機以外に応用する一環でドローンに着目。ブルーイノベーションと東京大学が進めていた共同研究にリコーが参加する形で2014年に開発がスタートした。ドローン向けカメラのベースとしたのは、ロボットのピッキング作業などに向けた製品「RICOHSV-M-S1」で、特徴点抽出などの画像処理と視差演算処理をFPGA上に実装している。高精度な3次元点群をリアルタイムに出力可能にし、全ての処理をカメラ内で完結させた。