これまで人がいない空間でしか動作できなかった産業用ロボットに変化が起きている。人と同じ空間で動作できる「協働ロボット」の登場である。これまで多くのロボットメーカーから協働ロボットが発表されてきたが、ここにきて、大手メーカーを中心に採用が相次いでいる。加えて、協働ロボットの低価格化も進んできた。

 世界最大規模の産業技術の展示会「Hannover Messe 2016」が2016年4月にドイツのハノーバーで開催された。目立っていたのは「Industrie 4.0」関連の展示だった。Industrie 4.0はドイツ政府が進める製造業の生産効率向上を目指す取り組みである。Industrie 4.0において、Internet of Thingsやビッグデータ解析などと並んで重要なのが、人と同じ空間で動作が可能な「協働ロボット」である。数年前のHannover Messeから多くの協働ロボットが展示されていた。今回のHannover Messe 2016でも多くの出展社が協働ロボットを展示していた(図1)。そこで目立っていたのは、これまで多かった協働ロボット単体の展示ではなく、協働ロボットの導入事例や、導入コストを抑えた協働ロボットの展示である。

図1 導入と低価格化が進む協働ロボット
図1 導入と低価格化が進む協働ロボット
世界最大級の産業見本市Hannover Messe 2016では、大手企業を中心に協働ロボットを利用したシステムやその導入事例、周辺機器の展示が多く見られた。一方、ベンチャー企業などの中小のロボットメーカーからは、本体の価格を抑えたり、ロボットの動作プログラムを容易にすることで、導入コストを抑えたロボットの出展が目立った。
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