人工知能の研究開発ラッシュが日本でも始まった。政府の戦略に沿った国の研究機関の連携や、大手電機企業の研究強化策が次々に浮上している。各者が口を揃える目標は、ディープラーニング(深層学習)の限界を超える新方式の実現だ。シミュレーションの併用や新たな数理手法の導入、脳に学んだ計算原理の研究などに期待を掛ける。
「日本は日本のやり方で山頂を目指すべき!」。日本の人工知能(AI)研究のホープは高々と宣言した。2016年4月25日、「第1回 次世代の人工知能技術に関する合同シンポジウム」での一幕である。発言の主は、理化学研究所が新設した革新知能統合研究センターのセンター長への就任が41歳の若さで決まった東京大学大学院 教授の杉山将氏。総務省、文部科学省、経済産業省の3省が連携するAI研究の発足を記念したシンポジウムで、自らの所信を表明した格好だ(図1)。