「株主資本を強化したいと考えていたところ、キヤノンから素晴らしい提案があった」──。

 東芝が2016年3月中旬に開催した事業計画説明会。代表執行役社長の室町正志氏がこう説明したのは医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの売却のスキームだ(図1)。

図1 「優等生」の子会社だったが…
図1 「優等生」の子会社だったが…
東芝メディカルは東芝のヘルスケア事業の中核。X線CT装置などで高いシェアを持ち、安定した収益を生み出してきたが、キヤノンへの売却が決まった。
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 説明会前日、東芝は東芝メディカルを約6655億円で売却する契約をキヤノンと交わした。経営危機にある東芝が、債務超過という最悪の事態を回避できた瞬間だった。

 日経デジタルヘルスの2016年3月のページビュー(PV)ランキングでは、東芝メディカル関連の記事がトップ10に5本入った(表1)。業界からの関心の高さがうかがえる。

表1 日経デジタルヘルスに掲載した記事の2016年3月のPVランキングトップ10
表1 日経デジタルヘルスに掲載した記事の2016年3月のPVランキングトップ10
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