「日経エレクトロニクス」2017年5月号の「ANAが航空機の外観点検にドローン導入、数mmの傷を10分で撮影しフライト遅延防ぐ、日経Roboticsから今月の1本」を先行公開した記事です。

 有人航空機とのニアミス問題からドローンを厄介者として見ることの多かった航空業界が、ドローンの積極活用に乗り出した。先手を打ったのは、全日本空輸(ANA)だ。フライト前の整備点検時に、ドローンで航空機の外観検査をする。航空機の上部を約10分間自動飛行させ、写真を撮影。高所作業車に乗って人が目視検査せずとも、破損箇所がないかなどを即座に確認できるようにした。

 特に確認するのは、落雷による損傷箇所だ。飛行中に落雷があった場合、次のフライトまでの30分余りで損傷を見つけ出す必要がある。従来は専門資格を持つ整備士が高所作業車に乗り、航空機の周りを1周しながら目視で調べていた。長い時は1時間かかる場合もあり、フライトの遅延などにつながることもあった。

 2017年2月14日、大阪国際空港(伊丹空港)に隣接するANAのグループ会社のMRO Japanの格納庫前で、ボーイング787-8をドローンで試験点検した。ドローンの自律飛行サービスを手掛けるソニー系ベンチャーのエアロセンスと共同で実施した。2018年以降にまずは、落雷に遭う頻度の高い日本海側にある山形県の庄内空港で実運用する考えだ。