ドイツ・ハノーバーで2017年3月20~24日に開催されたIT(情報技術)関連のBtoB(企業向け)製品やサービスに関する展示会「CeBIT 2017」。IoTを軸にした製造業のスマート化、いわゆる「第4次産業革命」の実現技術に沸いた。展示会のパートナーカントリーとして招かれた日本企業は、自動車分野を中心に海外事業のさらなる拡大に向けて技術の売り込みに余念がなかった。

 CeBITでは例年、パートナーカントリーを選んで、その国の企業や団体の展示に力を入れる。今回は初めて日本が招かれ、約120の日本の企業や団体が総面積7200m2の「ジャパン・パビリオン」に出展。人工知能(AI)を用いた自動運転や、超小型モビリティー、超高速撮像技術などを売り込んだ。

 前夜祭に登壇した安倍晋三首相は、日本とドイツが「IoT(モノのインターネット)」関連で連携を深めることなどを掲げた「ハノーバー宣言」の概要を披露した(図1、図2)。同宣言では、IoTやドイツが推進するスマート製造業の戦略「インダストリー(Industrie)4.0」に関連した国際標準化、規制改革、中小企業支援など9項目での連携強化を打ち出した。世界的な潮流となった「第4次産業革命」を両国が手を取り合って主導しようというわけだ。

図1 前夜祭に登壇した安倍首相
図1 前夜祭に登壇した安倍首相
前夜祭のスピーチでは、翌日の展示会初日(2017年3月20日)に正式発表する予定の「ハノーバー宣言」の内容を予告した。
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図2 世界70カ国からおよそ3300社の企業や団体が出展し、20万人以上が来場した
図2 世界70カ国からおよそ3300社の企業や団体が出展し、20万人以上が来場した
(写真:Deutsche Messe社)
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 展示会初日には、安倍首相がドイツのアンゲラ・メルケル首相と1時間半にわたってジャパン・パビリオンを視察。関連技術分野での両国の蜜月関係を演出した(図3)。2016年5月の日独首脳会談におけるメルケル首相の提案を受けた“超”トップダウンの取り組みではあるものの、日本政府が当初見込んだ出展者数とパビリオンの床面積を大きく上回り、機に乗じて海外事業を拡大したいという日本企業の期待感をうかがわせた。

図3 ジャパン・パビリオンを訪問する安倍首相とメルケル首相
図3 ジャパン・パビリオンを訪問する安倍首相とメルケル首相
日独首相はジャパン・パビリオンのステージで簡単なあいさつを済ませた後、日立製作所、ニチコン、NEDO、三菱電機、NTTなどのブースを訪問した。
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