日立オートモティブシステムズは、自動運転でカメラが白線を認識できない場合でも、車線を維持できる技術を開発した。カメラで取得した数秒から数十秒前の白線データを基に、制御用地図データ上の自車位置を把握するのが特徴である。現在開発中の自動運転車に搭載し、2017年以降の実用化を目指す。

 自動運転で車線を維持するには、現在走っている車線内の自車位置を正確に把握する必要がある。そのために、GPS(全地球測位システム)から得られる位置の情報や、カメラで読み取った車両前方の白線の位置情報などを用いて、制御用地図データ上で自車の位置を特定する場合が多い。その結果を基に、操舵や加減速を制御して車線を維持する。

 ここで問題になるのは、逆光などで車両前方の白線を、カメラが認識できなくなった場合である。その対策として、カメラ以外の情報で車両前方の車線の状態を推定する方法がある。GPSや車輪速センサーなどの情報を使って車線内の自車位置を推定し、その結果を地図データ上に反映させて、車両前方の車線の状況を予測するものである。ただし、GPSの測位精度は2~3m。車両が建物の陰などに入ると、測位精度が大きく低下する場合がある。