トヨタ自動車は、同社独自の設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」に対応した新型パワートレーンを発表した。同社はこれまで、「プリウス」と「C-HR」でアンダーボディーの共通化を図ってきた。これらに加えてパワートレーンにも共通化の思想を拡大。生産性を高めて車両全体のコストを削減する。

図1 トヨタ自動車が発表したTNGA対応のパワートレーン
図1 トヨタ自動車が発表したTNGA対応のパワートレーン
直列4気筒2.5Lの直噴ガソリンエンジンをはじめ、8速と10速のATや、2.5Lガソリンエンジンと組み合わせるFF車用のハイブリッドシステム、FR車用の4速変速機構を持つハイブリッドシステムを発表した。
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 トヨタが発表したのは排気量2.5Lで直列4気筒の直噴ガソリンエンジンに加えて、8速と10速のAT(自動変速機)やFF(前部エンジン・前輪駆動)車向けに2.5Lエンジンと 組み合わせるハイブリッド車(HEV)用システム、FR(前部エンジン・後輪駆動)車向けに4速変速機構を持つHEVシステムなど(図1)。8速ATは既に米国向けの一部車種に搭載しているが、2.5Lの直4エンジンは2017年以降に中型車に搭載する見込みだ。

図2 エンジンの共通化で種類を4割削減
図2 エンジンの共通化で種類を4割削減
TNGA対応のエンジン開発では、小型、中型、大型といったエンジンに整理統合して種類を4割減らす。今回トヨタが発表した直列4気筒2.5Lの直噴ガソリンエンジンは、中型車向けのエンジンに分類。
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 パワートレーンへのTNGA拡大の狙いは三つ。商品性、生産効率、開発効率の向上だ。商品性では、新パワートレーンで燃費を改善しながら、走行性能を高めていく。生産効率では、加工や組み付けの基準を統一し、異なる機種を柔軟に生産できるラインを構築する。さらに、小型、中型、大型といったエンジン種類に整理統合し、エンジン全体では種類を4割減らす(図2)。

 2021年には19機種37バリエーションに上る新パワートレーンの展開を予定する。その内訳は、エンジンが9機種17バリエーション、変速機が4機種10バリエーション、HEVシステムが6機種10バリエーションである。日本・米国・欧州・中国など主要市場での販売台数の6割以上に搭載させる。これによって年間100万台規模で新パワートレーンへの置き換えを進めていく。