日産自動車が2020年の実用化を目指す自動運転実験車の公道試験を都内で始めた(図1)。「Infiniti Q50(日本名:スカイライン)」をベースとした車両で、自動運転技術「プロパイロット」の新世代版を搭載する。カー・ナビゲーション・システムを設定すると目的地まで、一般道と高速道路を含むルートを自動運転で走行する。

図1 日産が2020年の実用化を見込む自動運転の実験車
図1 日産が2020年の実用化を見込む自動運転の実験車
(a)車両。目的地を設定すると、一般道から高速道路まで含めて走行する。(b)車両前部にはMobileye社の単眼カメラを3個(赤い点線)搭載する。
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 2017年11月初旬、実験車に試乗した。走行距離は約20kmだ。搭載する車載カメラは室内やルーフなどに12基(図2)。室内ミラー付近にある3眼カメラはイスラエルMobileye社の画像認識技術を使う。現在は130万画素を実現するために3眼としているが、将来、カメラ単体の画素数が上がれば単眼での対応もありえるという。

図2 車両に搭載するセンサー
図2 車両に搭載するセンサー
ミリ波レーダーやレーザースキャナー、単眼カメラなどを複数個搭載する。
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図3 自動運転車の機能
図3 自動運転車の機能
目的地を設定すると自動運転が始まる。一般道から高速道路での車線変更も含めてシステムが担う。
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 またレーザースキャナーは車両の四隅とフロントバンパー、リアパンバーに計6基ある。77GHz帯のミリ波レーダーは、フロントバンパー内部に長距離用(約150m対応)2基、リアバンパー内に長距離用が1基、さらに車体の両サイドそれぞれ中距離用(約70m対応)がある。この他、超音波センサーが12基で、センサーは合計39基使った。

 日産自動車の電子技術・システム技術開発本部/AD&ADAS先行技術開発部戦略企画グループ部長の飯島徹也氏は「(現在の要素技術では)一般道はこれくらいのセンサーがないと難しい」とする。なお、今回の実験車両の自動運転レベルはSAE(米自動車技術会)のレベル2(運転支援システム)相当である。運転者が車両周囲を確認しながら、運転操作をシステムに任せた。

 豊洲埠頭の起点で、自動運転モードを選択すると、車載器から「どちらへお出かけですか?」と音声が流れ、カーナビの画面でプリセットしたルートを選ぶと、車両が自動的に動き出す(図3)。