「日経Automotive」は2017年12月号で、自動運転機能搭載の日本市場向け6車種について、自動車線維持機能の継続性に対する実車試験結果を報告した。今回は、「操作のしやすさ・分かりやすさ」「自動車線維持の自然さ・安心感」といった観点からアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と自動車線維持のスイッチ類や自動車線維持の制御を見ていく。

 本誌は、2017年9月末に首都高速道路の一部区間を利用して公道試験を実施した。対象車種は、ドイツDaimler社「メルセデス・ベンツ」ブランドの「Eクラス」、スウェーデンVolvo社の「V90」、SUBARU(スバル)の「レヴォーグ」、ドイツBMW社の「5シリーズ」、日産自動車の「エクストレイル」、ドイツAudi社の「A5」である。公道試験では主に、ACCと自動車線維持の両機能を同時に作動させ、自動車線維持機能がどのくらい継続可能かを調べた。今回は、同コースおよび同コースの終点から起点への移動時に走行した東京外環自動車道において評価した「操作のしやすさ・分かりやすさ」と「自動車線維持の自然さ・安心感」について紹介する。

 操作のしやすさ・分かりやすさの観点から今回の評価対象としたのが、ACC・自動車線維持機能の操作スイッチである。試験車両とした6車種の同スイッチには、大別して、ボタン式やレバー式、それらを複合したハイブリッド式の3種類がある(図1~3)。V90、レヴォーグ、5シリーズ、エクストレイルがボタン式、A5がレバー式、Eクラスがハイブリッド式である。

図1 ボタン式を採用する4車種
図1 ボタン式を採用する4車種
(a)V90、(b)5シリーズ、(c)レヴォーグ、(d)エクストレイルのそれぞれのACC・自動車線維持機能のスイッチ。写真:宮原一郎
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図2 レバー式を採用するAudi社「A5」
図2 レバー式を採用するAudi社「A5」
(a)ACCの操作に使うコントロールレバー。ステアリングコラムの左側の、方向指示器のレバーの下に配される。レバーのポジションは前後に4段となっており、一番奥がACCオフ、それを手前に引くと奥から3段目のポジションとなりACCスタンバイ状態。この位置でレバーを上下させると設定車速を調整できる。レバーの先端のボタンを押すと、ACCが開始される。レバーを3段目から一つ奥に押すと、ACCが中断。逆に手前に引くと、元の車速でACCを再開する。(b)方向指示器のレバー。先端に自動車線維持機能の開始ボタンがある。写真:宮原一郎
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図3 ボタンとレバーを組み合わせたハイブリッド式の「Eクラス」
図3 ボタンとレバーを組み合わせたハイブリッド式の「Eクラス」
(a)ステアリングコラムの左側に配したレバーを上げるか下げるか手前に引くとACCが起動。さらに同レバーを上下させることで設定車速を調整できる。レバーを奥に押すとACCが解除される。レバー先端のボタンによってACC機能と速度リミッター機能を切り替えられる。(b)自動車線維持機能の起動ボタン(赤枠)。写真:宮原一郎
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