普及するカーシェアに続き、2014年に日本で始まった「駐車場シェア」が広がり始めた(図1)。先駆ける新興企業の躍進を見て、駐車場事業の大手2社が追いかける。簡単に駐車場をシェア(共有)するための技術開発も進み始めた。

図1 駐車場シェアが日本で広がる
図1 駐車場シェアが日本で広がる
自動車関連の主なシェアサービスの日本での開始時期を示したもの。ライドシェア(相乗り)は一部地域で試験している段階。
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 駐車場シェアは、月極や個人の駐車場を空いているときに貸し出すサービス。2014年にいち早く駐車場シェアを提供し始め、駐車場の数と会員数で首位を走るのが新興企業のakippaだ。スマートフォンの普及を追い風に、同端末で簡単に予約して決済できる仕組みを構築した(図2)。

図2 駐車場シェアで先行する「akippa」
図2 駐車場シェアで先行する「akippa」
提携する月極や個人の駐車場を15分単位で借りられる。利用できる駐車場は、首都圏と関西圏を中心に全国で約7500カ所。
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 akippaを追いかけるように、カーシェア事業で首位のパーク24が、2016年8月に駐車場シェアを提供開始。同年11月には、三井不動産リアルティもサービスを始めた。自動車の利便性を高めるのに、シェアという手法の存在感が一段と高まる契機になる。

 akippaが躍進しているのは、駐車場の数を増やす地道な努力を重ねたことに加えて、どこでも予約して決済できる仕組みを提供していることにある。駐車場の数は、首都圏と関西圏を中心に約7500カ所に達する。利便性の高さにトヨタ自動車が注目し、提携している。

 予約と決済は、スマホなどの携帯端末で移動しながら実行できる。加えて短時間でも使いやすいように、駐車場の予約時間の単位を15分と短くした。他社のサービスは1日単位が多い。さらに、利用料金を近郊の有料駐車場の半額以下に抑える。ユーザーが支払った料金は、駐車場の所有者とakippaで分配する。同社は3~4割ほど得ているとみられる。

 会員数は順調に増えており、数十万人に達した。akippaの売上高はうなぎ登りだ。同社社長の金谷元気氏は、「2016年10月の売上高は、2年前の45倍に達した」と明かす。後発組を突き放す策にも余念がない。最近、会員数を大きく増やすために対話アプリの「LINE」で予約できる仕組みを導入した。約3週間で1万人が登録したという。

 駐車場シェアの拡大に合わせて、ユーザーが利用するときの手間を省く技術を各社が提案する。駐車場に車両の認識センサーと無線通信機能を搭載する手法が主流だ。センサーの種類や数によって、都心の小規模な駐車場に適するか、テーマパークなどの大規模な駐車場に適するかが変わる。